シンクロニシティ或いは歪んだ妄想の誤った具現化

その日のうちに起こった,ちょっとした出来事なら,たいていのものは140字以内で表現できてしまう。そんな些細なことの積み重ねでしかない一日を,無理してそれなりの分量の文章にまとめると,twitterのタイムラインをまとめて投稿したのと変わらないエントリが出来上がる。(132字)
以前から自分はそういう体裁の日記を書くのが何だか耐えられなくて,書き上げてはゲンナリして筆を休める,ということを繰り返していた。「書くことがないんだよなあ」という悩みは,ブログというフォーマットで書くことがない,ということに他ならないのだ。(120字)
だから,そういった有象無象は全部twitterに投げてしまって,散文的な日記はそちらに任せておいて,ブログには映画と音楽と料理と矯正の話題しかない,という今の状態も,わりと気に入っているのだ。それでもたまに,140字ではまとめきれない出来事が起こる。それはこちらに書けばよい。(138字)
最近はできるだけ昼休みに二食でピアノを弾くことにしている。だから,買ったばかりの弁当箱には申し訳ないのだけれど,昼食も二食でいただくことになる。食事っていう大義名分があった方が,ラボから外出しやすいからね。メニューはいつも決まっていて,二食丼大盛りとみそ汁の組み合わせだ。(136字)
箸先をみそ汁で湿らせながら,いつだったか某所で見かけたコピペを思い出していた。公園だったか社食だったか,向かいにギャルっぽいお姉さんが座ってきて,眺めていたら食事の前に手を合わせて小さな声で「いただきます」って呟くのが聞こえて,そのギャップが大変カワユスであったとか,そういうの。(140字)
それと比べると,今日の自分の席取りはどうだ。左前の男子学生はひじついたままスプーンでオムライスみたいなの突っつきながらクチャクチャ音立てるし,本気で殺すぞお前。ほら,こぼしたよ。いや,漏れてるよ。頼むからこっちに飛ばすなよ。(112字)
よほど席を移ろうかと思ったけれど,ちょうど混雑がピークを迎える時間帯だったし,元々そこしか空いていなかったからそこに座ったようなものだったので,観念して脳内で女の子に「いただきます」させ続けることにした。(102字)
さて,丼に手をつけようかな…と思ったその刹那,向かいに阿部サダヲとピエール滝を足して2で割ったような風貌のオッサンが座ってきた。頼むよオッサン,これ以上俺の食事環境を悪化させんでくれ…と祈っていたら,違う波長の思念が届いてしまったのだろうか,信じがたいことが起こった。(134字)
手を合わせて小さな声で「いただきます」って言ってくれたのだ。そうか,そうきたか。ありがとうオッサン,一気に和んだよ。(58字)

二食でランチしながら(食事の前に手を合わせて小さな声で「いただきます」って言う女の子カワユス)って妄想してたら,阿部サダヲとピエール滝を足して2で割ったオッサンが向かいに座ってきて,手を合わせて小さな声で「いただきます」って言ってくれた。お前には求めてねーよと思ったけど,和んだ(140字)

なんだ,書けるじゃん。