007 スカイフォール

毎年恒例,元日映画。

冒頭のアクション(でも結局ボンドはトルコに何しにいったんだろ?)もさることながら,上海のシークエンスは超カッコよかった。近日公開されるクラウド・アトラスも象徴的だけど,もうカッティングエッジな極東の都市としてイコンになれるような場所は日本にはなくて,それは上海だったりソウルだったりするんだな,と少し寂しくなった。まあ,サイバーパンク的な文脈でいつまでもチバやサイタマに拘泥するわけにもいかないし,日本人としては舞台装置に素直に没入できるようになるわけで(エキゾチズムの押しつけ合いみたいになっちゃうけど),それはそれで良いことなんじゃないかとも思う。ちなみに,ロケ地として日本が世界に誇る(?)有名廃墟である軍艦島も少しだけ出てきた。

それはそうと,年末の文庫・新書フェアで買ったきり放置してた『キャンセルされた街の案内』にさっき手を出した。特別な理由があったわけじゃなくて,積ん読タワーの最上階だったからっていうだけで。全10作の短篇集だったんだけど,なんと第1作が007を見に行く話,さらに第10作が軍艦島を案内する話で,ちょっとこんな偶然ないんじゃないかとビックリした。

後付けでかろうじて連想ゲームをするならば,軍艦島は長崎で,吉田修一は長崎出身だから,彼の小説に軍艦島が登場したとして,それ自体はそんなにビックリすることではないかもしれない。でも007を見に行く話って!そんなん滅多にないやろ!もし俺が突然に辞書の編纂を依頼されて,シンクロニシティの項目を担当することになったなら,迷わずこのエピソードを掲載する。