シカゴ6泊8日の旅その1

…じゃなくて学会発表ですよ。時差ボケのせいで,今日も3時起床だよ。

16日

約11時間のフライトを耐え,オヘア国際空港に到着した。空港からシカゴ中心部まではCTAブルーラインで直結している。このCTAは高架鉄道も地下鉄もバスも初乗りが2.25USDで,どこまで行っても(例えば空港から市街地まで約40分間乗っても!)同額なのだ。たくさん使うしすぐに元が取れるだろうと思って,迷わず7日間用のVisitors Pass(23USD)を購入した。結果的に,この判断が後半の極貧生活においても観光する余地を与えてくれたのだった。
ホテルに到着してチェックインを済ませ,当日の夕食と翌日以降の朝食を調達しに出かけた。冷蔵庫のない客室だったので牛乳などは随時調達することにして,シリアルやスコーンだけ確保しておいた。
夕食はWhole Foods Marketのデリと,Trader Joe'sのチーズ,ワインとエール。モッツァレラ・ブッファラが4.99USD/lbで入手できるなんて信じられないな…ワインも10USD以下で十分な品質だし。ワインは先生に選んでいただいたので,全く間違いがなかった。エールはよく分からなかったので,Trinity Red Aleという6本で7.99USDのものを選んだ。今になって思えば,Goose Islandのものを一種類でも多く飲んでおけば良かった…。
部屋で散々飲んで,長旅の疲れもあってそのまま爆睡。

17日

学会が午後からだったので,午前中は駆け足でシカゴ美術館へ。とてもじゃないが回りきれないのは去年同様覚悟していたので,ある程度ターゲットを絞ってルートを組んだ。ゴッホ,モネ,スーラ,ウッド,ホッパーなどなど…に加えて,何とロンドン・ナショナル・ギャラリーからカラヴァッジオ「エマオの晩餐」がやってきていた!同室にはグレコもリベラもあって,何とも贅沢な空間だった。本当は「見るべきものを見る」なんて課題じみた回り方をしたくないのだけれど,時間が限られている以上は仕方ない。
ここで再確認したのは,やはり自分はマネのポートレートが大好きだということ。ベラスケスもそうだが,ただ立っているだけの人にここまで存在感を持たせられる画家はそういない。何より魅力的なのは,簡素で単純な画面構成と太く平面的な筆致が,少し離れて眺めると吸い込まれそうな立体感を生み出すところだ。
午後からは学会会場へ。滞在しているホテルのすぐ近くにヒルトンがあって,そこと会場を結ぶシャトルバスが運行されていたので,これをずっと利用することにした。
会場に到着して,参加者バッジを受け取ろうとしたのだけれど…端末に自分の名前が出て来ない。おかしいなと思って担当者に確認したら,何と学会参加登録がされていなかった!年会費(50USD)と発表手続料(85USD)だけ支払って,肝心なところを忘れていたのだ…おかげでAdvance(55USD)でもOnline Discount(65USD)でもなく,In Line On-Siteで90USDも支払う羽目になってしまった。アホや,底抜けのアホや…。
気を取り直して,市街の散策へ出かけた。地図はだいたい頭に入っていたので,超高層ビルの天辺だけを追いかけて適当に歩き回ることにした。シカゴ川以北は後日に取っておくことにして,まずはループエリア。カルダーやシャガール,ミロやピカソが残したパブリックアートを眺めながら,ビルの足下を動き回った。

西新宿の高層ビル群では新宿三井ビルが断トツに良いと信じて疑わない自分にとって,やはりミース・ファン・デル・ローエの作品は琴線に触れるのだった。ループエリアでは連邦政府センター。何というか,黒くて細くてキラキラしたのがスッと立っているのが,たまらなくかっこいいのだ。きっと彼があの調子でグランドピアノをデザインしたら,卒倒するくらいクールなものになっただろう。
そこからレッドラインでシカゴ川を超え,マグニフィセント・マイルへ。NORDSTROMにA|Xが入っているので,スリムなジャケットでもあればと思って覗いてみた。店頭のDJが音楽を流していて,店員はみんな手拍子しながら踊っていて,なかなかにカオスな空間だった。まあ,何というか,自分は片耳ピアスで,しかもスキニーなんか穿いちゃっているので,皆様とてもよく相手してくださるのよね。ゲイフレンドリーなのは分かったから,こっちにウィンク飛ばさないでおくれよ…。
色々眺めているうちに編込みのニットパーカーに一目惚れしたので,それを購入することにした…のだけれど,何とカードが通らない!きっと学会参加登録の90USDが息の根を止めてしまったのだ…限度額に迫っていたからなあ。しかしここまできたら引き下がるわけにもいかず,きっと日本に帰ったらこれ着てるの俺だけだぜ,などと根拠のない自己正当化をした挙げ句,キャッシュで支払ってしまった。これが後々の極貧生活を導くことになるとは思いもせずに…いや,思えよ。
夕食は,先生とご一緒させていただいた。Chicago Chop Houseというとても美味しいステーキのお店で,矯正器具と相談しながらでっかい肉を頬張り,Goose Island(ここではHonker's Ale)をたくさん飲んだ。あのステーキは間違いなく人生最高の一皿だったと思う。赤身なのに旨い,これぞステーキ!
そして,このGoose Islandという銘柄について。ウェイターに色々と話を聞いて分かったのだが,シカゴに最近できたばかりの,人気急上昇中のブルワリーなんだそうだ。品質管理が徹底しているから,イリノイ以外では滅多に入手できないんだとか。そんなことを聞いてしまってはもう我慢ができないので,滞在中になるべくたくさん飲んでおこうと心に決めたのだった。
さらに飲み足りないので,帰り道のRock Bottomというレストランに立ち寄って,ここでもビールを飲みまくった。ここは店内にビール工房があって,Chicago GoldにErik the Red Ale,そしてTerminal Stoutというタイプの異なる三種類をいただいた。やっぱり適度に焙煎された軽めのエールが一番飲みやすいなあ…水代わりみたいなもんだ(そして実際にエールとはそういう飲み物だ)。ふへへ,日本で毎日5,6パイント飲んでたから,このくらい平気だぜ。
さて,少々長くなってしまったので,この続きは新しいエントリに書くとするか。